何故俺はべびプリに惹かれたのか?

俺がトゥルー家族として覚醒した下地には、間違いなくシスプリが存在している。


俺がシスプリと出会ったのは2001年の夏のことだった。
仲の良い友人の家に集まって、ワイワイ遊んでいたときのこと、一人がPSOneをおもむろに取り出した。
当時流行っていたFFTでもやるのかな、と思って見ていたら、いきなり聞こえてくる「お兄ちゃん」という声。
12人姉妹?なんじゃこりゃ?
これがシスプリに対する第一印象である。
横から見ていると、彼はどう見ても一番年下である幼女(雛子)を攻略しはじめた。
「ひーなはげんき。げんげんげんき。げんきなひなは、えいえいおー!」
こいつは最高に狂ってる。
続けて選ばれたのは、ミステリアスな雰囲気を持つ、大人びた少女(千影)。
なんすかこのエンディングは。魔王の娘って何ですか?
友人が一発ネタのつもりで持ってきたであろうそのソフトに、何故だか分からないけれど、俺の心は妙に惹かれていた。
そしてその日の帰り道、ふらりと立ち寄ったゲーム屋で、俺はソレを発見してしまった。
シスター・プリンセス(初回限定版)
たいして大きくも無いゲーム屋で、当時の俺にはそれだけが一際輝いて見えた
価格は・・・9800円。
当時の俺には高すぎ、手が出せないような代物だった。
だが、どうしても諦めきれなかった。
今買い損ねたら、二度と手に入らないかもしれない・・・。


3日後、俺の手元にはシスプリ限定版があった。
友人達に頭を下げまくり、金を工面したのだ。
今思うと、狂気に支配されていたとしか思えないが、あの頃の俺は必死だった。
逸る気持ちを抑えきれず、大急ぎで帰宅し、PSを起動する俺。
流れてくるオープニング曲。「お兄ちゃん」という甘い声。
そしてゲームを始める。自分を一切否定しない妹達。
楽園がそこにあった。もちろん実名プレイである。
晩飯もそこそこに姉妹達との交流に打ち込む俺の顔は、最高に緩みきっていたに違いない。


傍から見れば気味が悪いくらいシスプリにハマっていた当時の俺は
「将来結婚して、子供が出来たら四葉と名付けよう」
とまで考えていた。
どう見ても既知外である。


ちなみに当時の俺の部屋にはテレビが無く、親の部屋でマイシスターと戯れるのが常であり、
親だけではなく、リアル妹にも緩みきった顔をバッチリ見られていたことを追記しておく。


そして月日は流れ、シスプリに対する異常なまでの情熱も覚め、思い出として心に残る程度になった去年のクリスマスのこと。
仕事を終え、友人のネトラジを聞きながら、ニュースサイトを巡回していた俺は、トゥルーな家族に出会ってしまった。


――おめでとう!!キミの本当の家族はココにいたんです!!


こいつは最高に狂ってる。
最初に取り上げた時はネタのつもりだった。
シスプリ以来パッとしないMWが随分と思い切った企画を始めたもんだ。
 斜めに見て、一瞬の笑いが取れればいいや。」
そう思っていたつもりだった。


だが、俺の心は正直だった。
公野神の織り成すトゥルー家族達のストーリー。
日を重ねるごとに強まるトゥルーな絆。


――きゅん


シスプリへ傾けた情熱の残りカスに火が点いた。
気付けばGoogleの検索窓に「Baby Princess」「ベビプリ イラスト」などと、一心不乱に打ち込む俺がいた。
俺、完全に陥落!


オチは無いですよ?